こどもの日に食べてたものは、ちまき? それともかしわもち?

公開日:2015/4/28

五月の行事の代表といえばやはりなんといっても五月五日の「こどもの日」、つまり端午の節句だろう。空に泳ぐは鯉のぼり、家の中では五月人形を飾るなどして子供、特に男の子の健やかな成長を祈るものだ。

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端午の節句につきものなのがちまきとかしわもち。何の気なしに毎年おいしく食べているこれらだが、意外とその由来については知られていない。今回はそのあたりをお話していきたい。

柏餅の由来

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まずは今やこどもの日に限らずわりといつでも出回っている柏餅の由来から。

端午の節句に小豆餡や味噌餡が入った餅をカシワの葉でくるんだ柏餅を食べるという風習は、徳川九代将軍家重から十代将軍家治の頃に江戸で生まれたもの。

カシワは新芽が出るまで古い葉が落ちないため、“子供が生まれるまで親が永らえる”すなわち“家系が絶えることがない”として武家のあいだで重用されたものが参勤交代で全国に広がり、やがて庶民にも親しまれるようになったのだ。

カシワの木があまり自生していない西日本では、餅をくるむ葉にサルトリイバラという棘のある低木の丸い葉を用いた。カシワの葉は“くるむ”ように用いられるが、それほど大きくないサルトリイバラの葉は“はさむ”ようにすることも多い。

ちまきの由来

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ちまきは柏餅と違ってそもそもは平安時代に中国から伝わったもの。当時文化の中心は都である京都であったため、ちまきを食べる風習は近畿圏が主となっている。

端午の節句とのかかわりは、一説には川に身を投げた屈原(くつげん)という人物の死をいたみ、亡骸が魚に食べられないよう命日である五月五日に供物を川に投げ込んでいたところ龍がこれを盗み取ったため、もち米を葉で包み邪気を祓う五色の糸で縛るようにしたのが始まりとされる。

また“ちまき”という名前はもともと茅(チ)、すなわちチガヤというイネ科の植物で巻いたために“茅巻き”と呼ぶようになったもの。漢字で書く場合は「粽」であるが、これは略字で本来は「糉」と書いた。この字は分解すると「米」を「集める」という意味になり、まさに米を寄せ集めて葉で巻いた、ちまきにふさわしい字と言えるだろう。

先細りの細長い形に巻くのは、その形を毒蛇になぞらえ、それを食べてしまうことで病や災いを避けるという一種免疫のような発想のまじないだともいう。

いかがだっただろうか。中国から伝わったちまきと日本独自の風習の柏餅。前者のほうが歴史は古いものの食べる風習は一部地域に留まり、歴史の浅い後者が参勤交代というシステムによって全国に広まったというのもなかなか興味深い現象だ。

ちまきと柏餅、今年は両方食べ比べてみて歴史に思いをはせると面白いだろう。

特集

ライター:菅目直衣

四国在住の男。菅目 直衣(すがめ なおい)と申します。 変わったもの、珍しいもの、未知の食文化に興味あり。 そして何より旨い物が好き。 東を向いては珍味をつまみ、西を向いてはシリアル喰らう。 今日も今日とて味覚を求め、自転車漕いで北・南。新製品もなつかしの味も、みんなまとめて持って来い!

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